健康投資で企業成長

経営者の健康管理が後回しになる理由|緊急でないリスクの構造

あなたは事業で、あらゆるリスクを管理してきたはずです。

資金繰り。人材。法務。取引先。
先を読み、手を打ってきた。だから今があります。

ところが、経営者が構造的に見落とすリスクが、一つだけあります。

自分の身体です。

私はパーソナルトレーナーとして13年、現場で10,000時間以上、人の身体と向き合ってきました。その中には、上場企業の経営者や、富裕層エリアのクライアントが数多くいます。

その現場で見えてきたのは、「経営者が怠慢だから後回しにしている」のではない、ということです。構造の問題でした。

この記事では、なぜ身体だけがリスク管理から漏れるのか、そして具体的に何が起きるのかを書きます。

まちょすまちょす体のことは来月から本気出すっす!
ハムスケハムスケその来月、何回目です?
エグゼ筋エグゼ筋緊急ではないが重要。この枠は意識して置かないと永遠に来ません。

なぜ、身体だけがリスク管理から漏れるのか

他のリスクは「今日の問題」として現れる

経営における他のリスクには、共通点があります。向こうから、こちらに知らせに来るということです。

資金繰りは、来月ショートすると数字で分かります。訴訟は、書面が届きます。人材の問題は、退職の申し出という形で現れます。

どれも「今日、対応すべき問題」として、目の前に立ち上がります。だから、あなたは対応できました。

身体だけが、何も言わない

でも身体は違います。

昨日の自分と、今日の自分は変わりません。1週間前と比べても、まったく同じに見える。1年前と比べても、たいして変わった気がしない。

変化が、認識できる速度を下回っています。

真綿で首を締められている状態です。締まっていることに、締まりきるまで気づけない。

これは意志の問題ではありません。人間の認識の仕組みの問題です。毎日鏡を見ていても、自分の変化には気づけません。数年ぶりに会った相手の変化には、一瞬で気づくのに。

「重要だが緊急でない」という第2領域

もう一つ、経営者だけに効いてくる要因があります。

仕事は「重要度」と「緊急度」で4つに分けられます。このうち、事業を伸ばすのは「重要だが緊急でない」領域だと、あなたは知っているはずです。

そしてこうも知っているはずです。その領域は、意識しないと永遠に手をつけられないということを。

身体は、まさにその領域にあります。重要です。でも、今日やらなくても誰も困りません。明日でも、来月でも、来年でも、何も起きない。

経営者は、緊急でないものを後回しにする訓練を、何十年も受けてきた人たちです。限られた時間を、緊急な案件から順に配分してきた。だから会社が回ってきた。

その優秀さが、身体に対しては裏目に出ます。

緊急でないリスクの構造

13年の現場で見えた、たった一つの共通点

健康リスクを本当に理解している人たち

私のクライアントの中に、健康のリスクを本当に理解している方々がいます。

60代後半から、90代の方です。

そして、その全員に共通していることがあります。

一度、痛い思いをしています。

倒れた。手術をした。歩けなくなった。医師から言葉を受けた。

理解したのではありません。思い知らされた人たちです。

逆に言えば——私は13年間、痛い思いをする前に本気で動いた経営者を、ほとんど見たことがありません。

これは経営者を責めている話ではありません。危機の形をしていないものに、人は動けない。それだけのことです。

若い経営者ほど「金で解決できる」と考える

もう一つ、はっきりした傾向があります。事業で成功していて、資産がある人ほど、健康リスクの認識は低くなります。

理由は分かりやすい。経営者は、たいていのものをお金で解決できるからです。

時間も、人材も、機会も、情報も。金額さえ払えば、たいていの問題は片がついてきた。だから無意識に、こう考えます。何かあれば、そのときに金をかければいい、と。

身体だけが、失ってから買い戻せない

でも、身体だけは違います。正確に言えば——

失う前なら、わずかな投資で守れたものが、失った後では、莫大な金を払っても、完全には戻りません。

これが、身体という資産の残酷な特徴です。

事業は外部環境に左右されます。株も不動産も、あなたのコントロールの外で動きます。でも身体への投資は、正しい設計のもとで行う限り、比較的読みやすいリターンが返ってきます。

そして、その投資窓口には期限があります。

具体的に、何が起きるのか

「健康を損なう」という曖昧な言い方をやめて、私が現場で実際に見てきたものを書きます。

判断の質が、先に落ちます

体力の低下は、「疲れ」という形では現れません。最初に出るのは、夕方の判断の鈍りです。

午前中と同じ案件を、午後4時に見ている。なのに、決められない。あるいは、いつもより雑に決めてしまう。

しかも厄介なのは、本人はそれを疲れだと思っていないことです。「今日は難しい案件だった」「相手の説明が悪かった」と、外側に原因を求めます。

事業の損失として現れているのに、原因が身体だと気づけない。これが最初に起きることです。

この現象を疲労の種類から掘り下げた記事はこちら:疲れが取れない経営者へ|筋肉の疲労と神経の疲労は別物である/午後に集中力が切れる理由|昼食のせいだけではない3つの要因

引退の時期を、身体の側が先に決めます

いつ第一線を退くのか。それは本来、あなたが決めることのはずです。事業の状況を見て、後継者の育ち具合を見て、自分の意思で決める。

でも私は、身体が先に決めてしまった経営者を何人も見てきました。

まだやりたいことがある。頭も回る。人脈もある。けれど、身体がついてこない。

経営者にとって、これ以上のコントロールの喪失はありません。

戻すコストが、年ごとに跳ね上がります

筋肉も、姿勢も、複利で動きます。落ちた分を取り戻すのに必要な時間と金は、放置した年数に応じて増えていきます。そして、リターンを受け取れる期間の方は、逆に短くなっていく。

複利で効くのは、資産だけではありません。

45歳で始める人と、55歳で始める人では、必要な労力もリターンの期間も違います。これは意志や才能の差ではなく、単純な時間の話です。

痛みが出た後は、選択肢そのものが減ります

膝や腰に痛みが出てからでは、「トレーニングで整える」という選択肢が使えなくなることがあります。痛みがある状態では、動かすこと自体にリスクが伴うからです。そうなると、対処は治療や制限の側に寄っていきます。

選べるうちに選んだ人だけが、選択肢を持っています。

経営者が見ていない、もう一つの視点

家族は、あなたが思っているより身体を見ている

最近、あるご夫妻を担当しています。

ご主人は、60代の経営者。資産では、望むものがほとんど手に入る立場の方です。奥様は、ひと回り以上、年下です。

奥様は、とても熱心にトレーニングをされます。食事も、質のいいものを選んでいる。

一方でご主人は、会食が続きます。身体が大切なことは、頭では分かっている。でも、時間を理由に、そこまではやらない。

あるとき、奥様がこぼした一言があります。

「先に逝かれたら、困るんです」

奥様が心配していたのは、ご主人の数字でも、事業のことでもありませんでした。一緒にいられる時間のことでした。

経営者は、突っ走ります

前だけを見て、事業のために時間を使い切る。それができるから、今の位置にいるはずです。

でも、そのぶん——後ろから聞こえている声が、届いていない。

あなたのご家族は、あなたが思っているより、あなたの身体を見ています。そして、たいていの場合、口には出しません。言っても、あなたが変わらないことを知っているからです。

私が13年で聞いてきたその手の言葉は、いつも「ご本人がいないところ」で出てきました。

理由は、自分のためでなくてかまいません

自分のための投資は、経営者ほど後回しにします。それは、悪い癖ではありません。事業と人を優先してきた結果です。

だったら、理由を変えてください。

あなたが10年後も自分の足で立っていることは、あなた一人の問題ではありません。

では、何から手をつけるのか

判断基準:緊急になる前に着手できるか

やるべきことは、実はシンプルです。「重要だが緊急でない」うちに、着手する。これだけです。

そして、これができる経営者が少ないことも、あなたは知っているはずです。事業では第2領域の重要性を理解しているのに、身体になると同じ判断ができない。

判断基準は一つだけ持ってください。「これは、緊急になってからでは取り返せないか?」

答えがイエスなら、今日の予定に入れる価値があります。

優先順位:土台が先、負荷は後

ここで、専門家として正直に言っておきます。

身体づくりの最大値を求めるなら、ジムの環境に勝るものはありません。マシンは軌道が固定されていて安全に追い込めるし、自宅では再現できない負荷を扱えます。

私は「ジムは要らない」と言ったことは一度もありません。

言っているのは、順番の話です。

何年も動いていない身体で、いきなり負荷をかけると、動く場所が代償して、崩れが進みます。まずやるべきは、止まっている身体を動かし、崩れた姿勢を立て直すこと。ゼロを1にすることです。

そしてゼロを1にする工程は、自宅で完結します。その先、もっと上を目指したくなったら、そのときジムも器具も使えばいい。

1になった身体でジムに入る人と、ゼロのまま入会して幽霊会員になる人。どちらが投資として正しいかは、もう言うまでもないはずです。

段階の見極め方はこちら:経営者のボディメイク|3ヶ月で変わる人と変わらない人の決定的な差/40代・50代の筋トレ|年代で変えるべき3つと、変えなくていいこと

週2時間という現実解

「時間がない」という話をされる方が多いので、先に答えておきます。

週5回・毎日1時間は、あなたに向けて作られたプログラムではありません。

世の中のプログラムは、不特定多数の誰にでも「それなりに」効くように作られています。だから、あなたに効く動きも、効かない動きも、全部入っています。

あなた一人に絞り込んだ瞬間、やるべきことは劇的に減ります。

私が経営者に渡しているのは、週2時間で成立する設計です。これは我慢して削った数字ではなく、効かない動きを削ぎ落とした結果、自然に残った数字です。

自分の現在地を、4つの数字で持つ

この領域が後回しになる最大の理由は、悪化が数字として上がってこないことです。売上なら月次で出ます。身体は年1回の健診しかありません。

だから、手元で読める指標を持ちます。条件は3つ。費用がかからない、記録に手間がかからない、感覚が入らない。

  • ベルトの穴 段階が決まっているので、感覚の揺れが入りません。体重が動かない期間でも、内側に入れば脂肪は減っています
  • 椅子から手を使わずに10回立てるか 下半身の出力。月に1回、同じ椅子で。40代以降で最初に落ちる場所の確認です
  • いつも使う階段で、息が乱れ始めた段数 脚の出力と心肺が1つの数字に出ます。同じ階段、同じ速さで測ること
  • 起床直後の心拍 前日の負荷に対する体の返答。平常値より5拍以上高い朝が続くなら、回復が追いついていません

4つとも、今日から取れます。器具も、通う場所も要りません。

重要なのは精度ではなく、変化が年1回より早く見えることです。年次決算だけで経営判断する会社はありません。身体についても、確定値と速報値を分けて持つ形にしてください。

そして速報値が動いていれば、健診の数値はまだ届いていないだけだと判定できます。3ヶ月で効果がないと結論してやめるという、この領域で最も多い失敗を避けられます。

よくある質問

何歳からでは遅いですか

筋肉も姿勢も、何歳からでも作り直せます。肌の老化は止められませんが、土台の若さは取り戻せます。

そして、今日のあなたは、これからの人生で最も若い。1年後に始めれば、リターンは1年分減ります。それだけのことです。

人間ドックを受けていれば大丈夫ですか

人間ドックは、病気を見つけるためのものです。そこで異常なしと言われても、それは「病気ではない」という意味であって、「動ける身体である」という意味ではありません。

筋肉量の低下、姿勢の崩れ、可動域の減少。これらの多くは、健康診断の項目には出てきません。

数値が正常なのに疲れが抜けない、という状態が起きるのはこのためです。

忙しくて、まとまった時間が取れません

まとまった時間は要りません。30分を週3回、それと夜に1分。それだけです。

むしろ問題は時間の長さではなく、移動と、判断の回数です。

ジムまでの往復で消える時間、着替え、そして「今日はやるかどうか」を毎回考えること。この摩擦を消せば、週2時間は現実的な数字になります。

何から始めればいいですか

まず、自分の現在地を知ることです。

同じエクササイズでも、猫背の人と反り腰の人では、効く方向が正反対になります。だから最初にやるべきは、トレーニングではなく、自分がどちら側かを知ることです。

現在地が分からないまま始めると、努力の方向がズレます。そしてそのズレは、3ヶ月続けても気づけません。

「緊急でない」を動かすための入口

第2領域は、入口がないと動きません。自分がどこから入れそうかで選んでください。どれか1つで足ります。

数値から入る

見た目と、伝わり方から入る

他人の体から入る

すでに痛みや不調が出ている

構造を先に確認する

ハムスケ「その来月、何回目です?」

まとめ

  • 経営者が健康を後回しにするのは、意志ではなく構造の問題
  • 他のリスクは「今日の問題」として現れるが、身体だけが何も言わない
  • 健康リスクを本当に理解している人は、全員が一度痛い思いをしている
  • 身体だけは、失う前ならわずかな投資で守れ、失った後では金では戻らない
  • 最初に落ちるのは体力ではなく「夕方の判断の質」
  • 引退の時期を、身体の側に決めさせないこと
  • 順番は、土台が先で負荷は後。ゼロを1にする工程は自宅で完結する

このリスクは、緊急ではありません。重要だが、緊急ではない。

だから後回しになります。痛い思いをする、その日までは。

私はあなたに、その日を待ってほしくありません。

判断の消耗を配置で守る方法は判断力は1日の中で減っていくで扱いました。

外部をどこで使うべきかはトレーナーにできるのは言葉と手本だけで扱いました。

指摘が出てから何から手をつけるかは健康診断の数値はいつ動くのかで扱いました。

組織の側から見る場合は「気合いが足りない」と言ってしまう人へで扱いました。

家庭側で同じ構造が起きている話は妻の「疲れた」を流してしまう人へで扱いました。

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