健康診断の結果が返ってきた。数値に色がついている。
去年は気にしなかった。しかし2年続くと、さすがに無視しづらい。
ここで多くの人が「運動しよう」と考えます。方向は正しい。ただし、どの数値が動いてどれが動かないかを知らないと、続きません。
この記事では、運動と食事で実際に動く指標と、動きにくい指標を分けて整理します。
まず前提を2つ

1つ目。この記事は診断や治療の代わりにはなりません。基準値を大きく外れている項目、医師から指摘を受けている項目は、生活改善を理由に受診を先延ばしにしないでください。
2つ目。数値は目的ではありません。数値を追いかけると手段が目的化します。見るべきは、出力が戻っているかどうかです。
その上で、投資対効果の話をします。
比較的動きやすい指標
中性脂肪
生活の影響を最も受けやすく、変化が早く出る項目です。
とくにアルコールと糖質の影響が大きい。会食の頻度が下がれば、数週間単位で動くことがあります。
逆に言えば、前夜の食事内容で結果が変わるほど振れます。健診前だけ節制しても意味がないのはこのためです。
血圧
減量と運動の両方が効きます。体重が数kg落ちるだけで変化が出る方は多い。
加えて塩分と睡眠の影響も受けます。会食が続く時期は塩分の総量が上がるため、そこだけでも動きます。
血糖関連(空腹時血糖・HbA1c)
HbA1cは過去1〜2ヶ月の平均を反映するため、直前の調整では動きません。逆に言えば、継続した変化が正直に出ます。
食事の順序と、運動による筋肉の使用が効きます。とくに下半身の大きな筋肉を使うことの寄与が大きい。
肝機能(γ-GTPなど)
アルコールの影響が明確に出る項目です。飲む量と頻度を落とせば、比較的早く反応します。
動きにくい指標

LDLコレステロール
生活改善で動く方もいますが、遺伝的な要因が大きい項目です。
食事を厳格にしても下がらないケースがあります。ここで「努力が足りない」と考えると、取り組み全体が嫌になります。
動かない場合は、それは体質の問題であって、あなたの責任ではありません。医師の判断を仰ぐ領域です。
尿酸値
食事の影響は言われるほど大きくありません。体内で作られる量の方が多いためです。
減量では下がることがありますが、急激な減量では逆に上がる場合があります。速度の設計が関わります。
腎機能
短期間の生活改善で大きく動く項目ではありません。
そしてここに指摘がある場合、タンパク質の摂取量を自己判断で増やさないでください。この記事の他の助言より、医師の指示が優先されます。
数値より先に見るべきもの
健診の数値は年1回です。1年に1回の測定で生活を評価するのは、解像度が低すぎます。
日々見るべき指標は別にあります。
1. 夕方の消耗
出力が保たれているかの実務的な確認です。ここが改善していれば、方向は合っています。
2. 朝の立ち上がり
布団から出るまでの時間。回復が進んでいるかが出ます。
3. ウエスト
内臓脂肪を反映しやすく、メジャー1本で測れます。体重より正直です。
この3つが動いていれば、健診の数値は後からついてきます。体組成計の数値をどう扱うかでも触れた通り、推定値に振り回される必要はありません。
何から着手するか

複数に色がついていると、全部やろうとして破綻します。順序を決めてください。
1. アルコールの頻度
中性脂肪・肝機能・血圧・睡眠。1つ変えて4項目に効きます。断つ必要はなく、2日連続を避けるだけで処理が追いつきます。
2. 座っている時間
血糖と循環に効きます。30分に1度立つ。運動を足すより、動かない時間を切る方が実行しやすい。
3. 下半身を使う
全身の筋肉の約3分の1が集中しており、血糖の処理に直結します。太ももの筋肉量が代謝を決めるで扱った通りです。
4. 睡眠
血圧と食欲の両方に関わります。時間より深部体温が鍵です。
再検査の前だけ頑張らない
健診の直前だけ節制する方がいます。中性脂肪は実際に動くので、数値上は改善します。
しかしHbA1cは1〜2ヶ月の平均なので動きません。そして体の状態も当然変わっていない。
数値を通すことが目的なら成立しますが、出力を戻すことが目的なら意味がありません。どちらを取るかの問題です。
よくある質問
1つだけやるなら何ですか
アルコールの間隔を空けることです。関わる項目の数が最も多い。
どのくらいで数値が変わりますか
中性脂肪と肝機能は数週間、血圧は1〜2ヶ月、HbA1cは2〜3ヶ月が目安です。
項目によって反応速度が違うので、1ヶ月で全部を判定しないでください。
サプリメントで改善しますか
不足を埋める役割はありますが、生活の構造が変わらなければ限定的です。
順序として、アルコールの頻度と座位時間の方が先です。
まとめ
- 動きやすいのは中性脂肪・血圧・血糖関連・肝機能
- 動きにくいのはLDLコレステロール・尿酸値・腎機能
- 動かない項目で自分を責めない。体質の領域がある
- 年1回の数値より、夕方の消耗・朝の立ち上がり・ウエストを見る
- 着手順は「アルコールの頻度→座位時間→下半身→睡眠」
- 直前の節制で動くのは一部の項目だけ。体の状態は変わらない
数値に色がつくのは、体からの報告です。
全部を一度に消そうとせず、関わる項目が多いものから手をつけてください。
※基準値を大きく外れている項目や、医師から指摘を受けている項目については、必ず医療機関の指示に従ってください。