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社長の右腕が先に倒れる|体調を聞かずに見る業務の3つの数字

まちょすまちょすうちの右腕、毎日いちばん最後まで残ってくれてるっす!ほんま頼もしいっすわ!
ハムスケハムスケその「最後」、何時か知ってます?
エグゼ筋エグゼ筋顔色を見ても変化は分かりません。見るのは、業務に残っている3つの数字です。

会社でいちばん頼りにしている人。

その右腕が、社長より先に倒れることがあります。

しかも、その変化にいちばん最後に気づくのは、毎日顔を合わせている社長です。

「大丈夫か」と聞けば「大丈夫です」と返ってくる。

顔色を見ても、昨日と同じに見える。

あなたが見落としているのではありません。見る方法が合っていないだけです。

この記事では、体調に一切触れずに確かめる「業務の3つの数字」を整理します。

どれも本人に聞かなくても、カレンダーと勤怠にすでに残っています。

社長の右腕が先に倒れる3つの理由

仕事は、断らない人に集まる

右腕は、社長の判断と現場のあいだに立っています。

上からの「急ぎで」と、下からの「相談です」が、両方そこに流れ込む。

結果を出すほど、次の案件が来ます。

決定的な違いは、予定を誰が決めているかです。

社長は自分の予定を自分で動かせます。

右腕の予定は、社長と現場が決めています。

負荷を自分で調整できない側から、先に崩れます。

毎日会う相手ほど、変化が見えない

人は「前回との差」で変化を認識しています。

3ヶ月ぶりに会った取引先の変化にはすぐ気づく。

ところが毎日会う相手は、1日あたりの差が小さすぎて拾えません。

少しずつ進む変化を見落とす現象は、心理学で「変化の見落とし」として研究されています。

(Simons & Rensink, 2005, Trends in Cognitive Sciences)

つまり観察力の問題ではなく、見る間隔(サンプリング間隔)の問題です。

毎日見ているほど、間隔が短すぎて変化が検出できない。

右腕は、自分からは言わない

右腕は「自分が抜けたら回らない」と分かっている人です。

そのうえ、上に向かって「しんどい」と言うのは、どんな関係でもコストがかかります。

私は13年、現場で1万時間以上、経営者の身体を見てきました。

トレーニングが続かなくなる人は、「やめます」と宣言しません。

罪悪感から、静かに離れていきます。

だから本人にも、限界を越えた自覚が残りにくい。

申告を待つ仕組みは、いちばん申告しない人を取りこぼします。

体調を聞かずに見る「業務の3つの数字」

顔色や体調を聞く代わりに、業務に残っている事実を見ます。

3つとも、本人に何も言わせずに取れる数字です。

1. 連続した会議の時間

カレンダーを開き、休憩なしで続いた会議の最長時間を見てください。

件数ではなく、途切れずに続いた長さです。

Microsoftの研究チームは2021年、会議中の脳波を計測しました。

休憩なしで会議を続けると、ストレスに関わる脳波(β波)が積み上がっていった。

会議の間に10分の休憩を挟むと、その積み上がりが抑えられました。

(Microsoft Human Factors Lab, 2021)

右腕は自分の会議に加えて、社長の会議にも同席します。

その分、カレンダーは社長より埋まりやすい構造にあります。

目安は、2時間以上すき間なく会議が続く日が、週に何日あるかです。

2. 最後に退社した時刻

見るのは平均ではなく、いちばん遅かった日の時刻と、その頻度です。

勤怠、入退室の記録、最後に送られたメールの時刻で分かります。

労働時間と健康の関係には、公的な基準があります。

厚生労働省の労災認定基準では、発症前1ヶ月の時間外労働がおおむね100時間を超えるかを見ます。

超えていれば、業務と脳・心臓疾患との関連性が強いと評価されます。

2〜6ヶ月の平均で月80時間を超える場合も同じです。

(厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準」2021年改正)

WHOとILOも2021年に推計を出しています。

週55時間以上の労働は、週35〜40時間と比べて脳卒中のリスクが約35%高い。

虚血性心疾患による死亡リスクは約17%高い、という結果です。

(Pega et al., 2021, Environment International)

ここで大事なのは、1回の数字ではなく傾きです。

経営で言えば、年次決算より月次速報。

3ヶ月並べて、退社時刻が少しずつ後ろへずれていないかを見ます。

3. 座りっぱなしの時間

右腕の仕事は、調整・資料・会議です。

つまり、1日の大半を座ったまま過ごしやすい。

約100万人を対象にした解析では、1日8時間以上座る人ほど死亡リスクが高い関連が見られました。

一方で、1日60〜75分の中強度の活動があると、その関連は打ち消されていました。

(Ekelund et al., 2016, The Lancet)

これも本人に聞く必要はありません。

会議室の予約、オンライン会議の連続、外出予定の有無で見えます。

オンライン会議だけの日は、移動ゼロのまま1日が終わります。

座りっぱなしで脚の付け根に何が起きるかは、座りっぱなしで縮む脚の付け根で扱いました。

数字を見たあとに変えるのは、業務設計だけ

判断基準は「相手が何も言わなくても結果が変わるか」

数字が悪くても、本人に体調を指摘しないでください。

  • 顔色や体型に触れる
  • 健康診断の結果を聞く
  • 睡眠や食事を指導する

どれも善意です。しかし断れない関係では、指示と同じ圧力になります。

変えるのは、相手が何も言わず、何も始めなくても結果が変わるものだけです。

一度やれば続く対策から入れる

対策は2種類に分かれます。

一度決めれば回り続ける対策と、毎日やり続ける対策です。

忙しい週に真っ先に落ちるのは、毎日やる方です。だから前者から入れます。

一度やれば続く対策

  • 会議の標準を60分から50分に変える。間に10分の空白が自動で入る
  • 右腕を同席させている会議を棚卸しし、同席が不要なものを外す
  • 繁忙期の翌週に、休みを先に固定で入れておく
  • 週に1回、立って話す打ち合わせか、移動を伴う予定を枠で入れる

毎日やる対策(後回しでいい)

  • 毎日の声かけ、様子見、こまめな確認

後者が悪いのではありません。忙しい時期ほど止まる、というだけです。

会議を置く時間帯の考え方は判断力は1日の中で減っていく|重い決定をどこに置くかにまとめています。

例外:痛みや強い不調が見えているとき

原則は「体調に触れず、業務で調整する」です。

ただし、これがひっくり返る条件が1つあります。

本人が痛みを口にした、または業務中に明らかな異変があるときです。

このときは業務調整より先に、医療機関につなぎます。

伝え方は業務指示で構いません。「今日は上がってほしい」「受診の時間は業務扱いにする」。

見分ける基準は、数字の話か、目の前の異変の話かです。

私が現場で「どうですか」と聞かない理由

「マッサージを受けても、すぐ戻ってしまう」と言われることがあります。

そのとき私は「つらいですか」とは聞きません。

「どのあたりで戻りますか」と聞きます。

保った時間で、いまどの段階にいるかが分かるからです。

感覚を聞くと、答えはその日の気分で揺れます。

時間を聞くと、事実が返ってきます。

右腕の状態を確かめるのも、同じ理屈です。

「大丈夫か」は感覚の質問。会議の長さ、退社時刻、座っている時間は事実です。

どうしても聞くなら、「いま何件並行してる?」のように、数字で返る問いにしてください。

同じ3つの数字は、社長自身にも当てはまる

ここまで右腕の話として書きました。

ですが、この3つをあなた自身のカレンダーで見てください。

経営者には、不調を申告する相手がいません。

見ている人もいないし、言う先もない。右腕より条件が悪いとも言えます。

だから自分についても、人の目ではなく記録で拾う必要があります。

近い人ほど不調が見えない構造そのものは秘書や側近の不調は、いちばん見えないで分解しました。

自分の健康が後回しになる理由は経営者の健康管理が後回しになる理由|緊急でないリスクの構造にまとめています。

まとめ

  • 右腕は予定を自分で決められない。だから社長より先に崩れやすい
  • 毎日会う相手ほど、1日の差が小さく変化が見えない。見る間隔の問題
  • 見るのは体調ではなく、連続した会議の時間・最後の退社時刻・座りっぱなしの時間
  • 変えるのは業務設計だけ。一度やれば続く対策から入れる
  • 痛みや明らかな異変があるときは、業務調整より先に医療機関へ

右腕の変化が見えないのは、関心がないからではありません。

毎日見ているから、差が取れないだけです。

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