駅の階段を上りきったところで、息が整わない。
以前は何ともなかった。ここで「心肺機能が落ちた」と考える人が多いのですが、40代以降では、原因が脚にあることの方が多くあります。
この記事では、息が上がる経路を分解し、自分がどちらに該当するかを判定する方法を整理します。
息が上がる原因は2つに分かれる
心肺側の問題
心臓が送り出せる血液量、肺が取り込める酸素量。ここが落ちれば、当然すぐ苦しくなります。
ただし、この能力が40代で急に落ちることは、あまりありません。落ちるとすれば長期間まったく動いていない場合です。
筋側の問題
こちらが本命です。
脚の筋力が落ちると、1段上がるのに必要な努力の割合が上がります。
同じ階段でも、脚にとっては「軽い運動」から「全力に近い運動」に変わる。すると心拍数も呼吸も一気に上がります。
つまり息が上がっているのは結果で、原因は脚の出力低下という構造です。
なぜ脚から落ちるのか
下半身は使わなければ最も速く減る
全身の筋肉の約3分の1は下半身にあります。そして加齢による減少は、上半身より下半身で先に始まります。
デスクワーク中心の生活では、下半身は1日のほとんどを「座って支える」だけに使われます。持ち上げる動作がゼロの日が続く。
この構造は太ももの筋肉量が代謝を決めるで扱いました。
筋力より先に「速く出す力」が落ちる
重いものを持てるかどうかより先に落ちるのが、素早く力を出す能力です。
階段は、この能力を使います。1段ごとに短時間で体重を持ち上げる動作だからです。
だから「重いものは持てるのに階段だけきつい」という状態が起こります。矛盾ではありません。
どちらか判定する
基準は2つです。
判定1|どこがきついか
階段を上りきった直後、息だけがきついのか、太ももも張っているのか。
太ももに明確な張りが出るなら、脚が限界に近い出力を使っています。筋側です。
息だけで脚が何ともないなら、心肺側の割合が大きい。
判定2|平地の早歩き
平地を10分、会話が少し苦しい程度の速さで歩く。
これが問題なくできるなら、心肺機能は落ちていません。階段だけがきついのは、脚の出力の問題です。
平地の早歩きでも苦しいなら、心肺側も含めて全体が落ちています。
ここで原則が割れます
ここまで「原因は脚」と書いてきました。
ただし、次の場合は運動の話ではありません。
- 数ヶ月前と比べて、明らかに急に悪化した
- 胸の痛みや圧迫感を伴う
- 安静にしていても息苦しい、夜間に苦しくなる
- 足のむくみが左右差を伴って出ている
この場合は循環器の領域です。トレーニングで様子を見る対象ではありません。医療機関で確認してください。
見分け方は「徐々にか、急にか」です。年単位で徐々になら使い方の問題。数週間〜数ヶ月で急になら、体の中で別のことが起きています。
戻すには何をするか
有酸素運動を増やしても戻りにくい
息が上がるから走る、という順番は効率が悪くなります。
原因が脚の出力なら、足すべきは持久系ではなく、体重を持ち上げる動作です。
有酸素運動の位置づけは有酸素運動は必要かにまとめました。
やること
1. 階段を下りで使う
上りより下りの方が筋肉には強い刺激が入ります。エレベーターで上がって階段で下りる。これだけでも変わります。
2. 椅子から手を使わず立つ
1日10回。デスクで完結します。ここが5回できないなら、階段がきついのは当然です。
3. 週2回、下半身に負荷を入れる
スクワット系を1種目。深さを優先し、重さは後回しにします。
どのくらいで変わるか
4〜6週で、同じ階段の感じ方が変わります。
この期間に変わるのは筋肉の量ではなく、神経の使い方です。眠っていた筋線維が動員されるようになる段階です。
見た目が変わるのはその後です。3ヶ月で変わる人と変わらない人の差で扱いました。
よくある質問
ウォーキングでは足りませんか
心肺と循環には効きます。ただし平地の歩行では、体重を持ち上げる負荷がかかりません。階段のきつさには直接効きにくい。
息が上がるのは体重のせいですか
重ければ持ち上げる負荷は上がります。ただし減量だけで解決しようとすると、筋肉も一緒に落ちて出力がさらに下がることがあります。順番は20キロ減量の構造で扱いました。
毎日階段を使えば鍛えられますか
刺激にはなりますが、回復の時間がないと積み上がりません。毎日より、週2回しっかりの方が結果が出ます。
まとめ
- 40代で階段がきつくなる主因は、心肺ではなく脚の出力低下
- 脚が弱ると、同じ階段が「軽い運動」から「全力に近い運動」に変わる
- 判定は「太ももが張るか」と「平地の早歩き10分ができるか」
- 急激な悪化・胸の症状・安静時の息苦しさは循環器の領域
- 足すのは持久系ではなく、体重を持ち上げる動作
- 4〜6週で感じ方が変わる。変わるのは筋量ではなく神経
息が上がるようになったのは、年齢のせいではありません。
脚が、階段を「軽い運動」として扱えなくなっただけです。