姿勢と骨格の整え方

肩甲骨の間が痛い|揉んでも戻る背中の張りは、胸が止まっている

まちょすまちょす肩甲骨の間、テニスボールでゴリゴリ押したら一発やろ!
ハムスケハムスケそれ、何時間もちました? 毎日押してません?
エグゼ筋エグゼ筋張っているのは背中です。止まっているのは、胸のほうです。

午後の決裁が3件続いた。右手はマウス、左肘は机の上。

気づくと、肩甲骨の間に、指で押したくなる一点がある。

椅子の背もたれに押し当てて、左右に揺らす。少し楽になる。でも夕方にはまた同じ場所が張っている。

この記事では、揉んでも戻る背中の張りが、なぜ背中だけの問題ではないのかを整理します。最後に、今日その場で確かめられる方法と、手を打つ順番を書きます。

肩甲骨の間が痛いとき、背中で起きていること

肩甲骨の間には、肩甲骨を背骨側へ引き寄せる筋肉が並んでいます。

菱形筋(りょうけいきん)と、僧帽筋の中部です。肩甲骨を「後ろへ引く」担当だと思ってください。

デスクワーク中、この筋肉は休めません。腕が前にあり、頭も前に出る。肩甲骨は前へ引っ張られ続けます。

菱形筋はそれを引き止めるために、伸ばされたまま力を出し続けている。押すと痛いのは、この状態です。

見落とされている原因:胸の骨格が動いていない

肩甲骨が乗っている土台は、肋骨と背骨(胸椎)です。

胸椎とは、首と腰の間にある背骨の12個のことです。本来は反る・ひねる、が得意な場所です。

ところが座りっぱなしの1日では、胸椎はほぼ丸まった形で固定されます。反る場面も、ひねる場面もない。

土台が丸まったままだと、肩甲骨は前に滑り落ちる位置に置かれます。背中の筋肉は、その位置を一日中支え直している。

つまり痛む場所は背中でも、原因の一部は胸の前と、胸椎の動きにあることが多い。猫背を肋骨から見た話は猫背は背中ではなく肋骨の問題に書きました。

揉むと楽になり、すぐ戻る理由

揉むと、張った筋肉の感覚は一時的に下がります。ここまでは事実として楽になります。

ただし、肩甲骨を前に引っ張っている配置は何も変わっていない。席に戻れば、同じ仕事がまた始まります。

経営に置き換えると分かりやすい。現場が止まっている部署の仕事を、隣の部署が残業で肩代わりしている状態です。

残業している人をねぎらっても、翌日も残業は続きます。止まっている部署を動かさない限り終わりません。

13年・現場1万時間で、最初に聞くこと

私は「マッサージしても効かない」と言われたら、まず「どのあたりで戻りますか」と聞きます。

楽な状態が何時間もったか。その長さで、どの段階にいるかが分かるからです。

翌朝までもつなら、まだ配置の問題として浅い。昼休みに押して、午後3時に戻るなら、土台側がかなり固まっていると見ます。

押す道具を強くしても、もつ時間はあまり伸びません。伸びるのは、胸が動くようになってからです。

筋肉の疲れと神経の疲れを分けて考える話は、柱記事の疲れが取れない経営者へ|筋肉の疲労と神経の疲労は別物であるにまとめています。

呼吸と姿勢から見る、肩甲骨の間の張り

メカニズム:呼吸のたびに肋骨は動くはずの場所

安静時の呼吸は、1分間におよそ12〜20回です。1日にすると2万回前後になります。

本来は吸うたびに肋骨が広がり、胸椎もわずかに伸びます。胸郭(肋骨と胸椎のかご)が、呼吸のたびに小さく動いている。

丸まったまま固まると、この動きが小さくなる。息は首と肩で吸うようになり、肩まわりの筋肉の仕事がさらに増えます。

吸う前に吐き切れていない問題は深呼吸しても息が入らない|吸う前に吐き切れていない理由で詳しく書きました。

経営者に特有の条件:座る時間が長く、姿勢の変化が少ない

日本の成人の平日の座位時間は中央値で1日約7時間。20カ国比較で最も長い部類でした(Bauman ら, Am J Prev Med, 2011)。

経営者はここに、移動の車内と会食の席が足されます。座る場所が変わるだけで、胸椎は一日中同じ形のままです。

しかも重い判断の最中ほど、人は画面に近づきます。頭が前に出るほど、肩甲骨の間の負担は増える。

今日、その場で確かめる方法

器具は要りません。椅子に座ったまま、30秒でできます。

  1. 椅子に深く座り、両腕を胸の前で組む
  2. 骨盤は正面に向けたまま、上半身だけを右へひねる
  3. 顔の正面が、肩越しに部屋のどこまで見えたかを覚える(窓の端、ドアの取っ手など)
  4. 左も同じようにやる

見るのは2点です。

  • 左右でどれだけ差があるか
  • ひねったとき、肩甲骨の間が詰まる感じがするか

目印を決めておけば、1週間後に同じ条件で比べられます。数字にならなくても、差分は取れます。

肩甲骨の間の張りに、手を打つ順番

判断基準:揉む前に、胸を動かすかどうか

原則はこうです。肩甲骨の間は、揉むより先に胸を動かす。

ただし、これがひっくり返る条件が1つあります。痛みが体の動きと関係なく出ている場合です。

  • じっとしていても痛む、夜中に痛みで目が覚める
  • 息苦しさ、胸の締めつけ、冷や汗を伴う
  • 急に強い痛みが出た、日に日に強くなる
  • 腕や手にしびれが広がる

背中の痛みは、心臓や大血管、内臓の不調が離れた場所に出る「関連痛」のこともあります。これらに当てはまるなら、姿勢の工夫の範囲ではありません。早めに医療機関で診てもらってください。

見分ける基準は1つです。ひねる・反るなど、動かし方で痛みが変わるか。変わるなら配置の問題として扱えます。

優先順位:一度やれば効き続ける対策から入る

対策は2種類に分けます。忙しい週に落ちるのは、毎日やる方です。だから先に、一度やれば効き続ける方を入れます。

一度やれば効き続ける対策

  • モニターの上端を目の高さに合わせる(ノートPCなら台に載せ、外付けキーボードを使う)
  • キーボードとマウスを体に近づける(肘が体の横に来る位置)
  • 車のシートの背もたれを、1段だけ起こす

どれも5分で終わり、翌日から毎日働き続けます。意志を使わずに、肩甲骨が前へ引かれる時間を減らせます。

毎日やる対策

  • 会議の切れ目に、さきほどのひねりを左右3回ずつ
  • 4秒で吸い、8秒で吐き切る呼吸を5回

毎日の方は、できない日があって構いません。土台は一度やった方の対策が支えています。

肩こり側から同じ構造を見たい方は揉んでも戻る肩こり|原因が肩にない3つの場合と見分け方も参考にしてください。

まとめ

  • 肩甲骨の間の張りは、肩甲骨を引き止め続けている筋肉の悲鳴
  • 原因の一部は、丸まったまま動かない胸椎と肋骨にある
  • 揉むと楽になるが、配置が変わらないので戻る。もつ時間で段階が分かる
  • 動かし方で痛みが変わらない、息苦しさや冷や汗を伴う場合は医療機関へ
  • 先に「一度やれば効き続ける対策」、次に「毎日やる対策」

背中の一点が張るのは、背中が弱いからではありません。

止まっている胸の仕事を、背中が一日中肩代わりしているだけです。

揉む道具を強くしても戻るのは、情報や手段が足りないからではありません。順番の問題です。忙しい経営者ほど手段を集めて遠回りする理由を、無料レポートにまとめました。

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