マウスを持つ手首が重い。肘の外側が痛む。夕方になると握力が落ちた感じがする。
湿布を貼り、手首用のサポーターを買う。それでも数ヶ月おきに戻ってくる。
痛んでいる場所と、原因がある場所が違うためです。
この記事では、デスクワークで手首と肘が痛む構造を分解し、どこに手を入れれば戻るのかを整理します。
手首と肘は「末端」である
力は肩から来ている
腕を支えているのは、手首ではありません。肩甲骨と、そこから背中につながる筋肉です。
肩甲骨が安定していれば、腕は根元から支えられます。安定していなければ、支える仕事が末端に降りてきます。
つまり手首と肘は、本来やらなくていい支持の仕事を肩代わりしています。
肩が前に入ると、末端の負担が増える
デスクワークで肩が前に入ると、肩甲骨は外へ滑ります。この位置では、背中側の筋肉が働きにくくなる。
腕は宙に浮いた状態で保持されることになり、その重さを前腕と手首が負担し続けます。
肩甲骨の位置の話は猫背が改善しない理由で扱いました。
環境が作っている負担
1. 肘が体から離れている
キーボードやマウスが遠いと、肘が前に出ます。この位置では、腕の重さを支えるのが肩ではなく前腕になります。
肘が体の横、90度前後に来る配置が基本です。
2. 手首が反っている
キーボードが高い、または手前に台がないと、手首が上に反った状態で固定されます。
反った状態で何時間も細かい動きを続ければ、腱は消耗します。
3. マウスが小さい
小さいマウスは、指先と手首だけで操作することになります。大きめのものを、腕ごと動かして使う方が負担は下がります。
4. 肩がすくんでいる
机が高いと、肩が上がったまま固定されます。この状態では首も肩も休みません。
モニターと机の高さの話は目の疲れが夕方に抜けない理由にまとめました。
ここで原則が割れます
ここまで「原因は肩と環境」と書きました。
ただし、これに当てはまらない場合があります。
医療機関で診るべき条件
- 指にしびれがある(とくに親指から薬指側)
- 夜間に痛みやしびれで目が覚める
- 握力が明確に落ちて、物を落とすことがある
- 手のひらの筋肉がやせてきた
しびれを伴う場合は、神経の圧迫が起きている可能性があります。ストレッチや姿勢の話ではありません。整形外科で確認してください。
見分け方
基準は1つです。
症状が「だるさ・痛み」なのか、「しびれ」なのか。
だるさと痛みなら、使い方と環境の問題です。しびれがあるなら、別の判断が要ります。
戻す順番
1|環境を直す(最優先)
ここが8割です。
- 肘が体の横に来る位置にキーボードを置く
- 手首を反らせない高さにする(パームレストで足りることが多い)
- 肩がすくまない机の高さにする
一度整えれば毎日効き続けます。ストレッチより先にここです。
2|前腕を緩める
肘から手首までの筋肉を、反対の手で押さえながら手首を曲げ伸ばしする。左右30秒ずつ。
対症療法ですが、環境を直した上でやれば戻りにくくなります。
3|肩甲骨を寄せる動きを入れる
ここが根本です。
うつ伏せ、または椅子に座った状態で、肩甲骨を背骨側に寄せる。10回。腕ではなく、背中で動かす感覚を作ります。
背中側が働けば、末端の負担は自動的に下がります。
4|1時間に1回、手を離す
細かい動きの連続が負担を作っています。30秒、手をぶら下げて力を抜くだけで違います。
よくある質問
サポーターは有効ですか
急性期の保護には有効です。ただし常用すると、その部位の筋肉が働かなくなります。痛みが引いたら外してください。
握力を鍛えれば治りますか
逆効果になることが多い。すでに過剰に働いている場所に、さらに負荷をかけることになります。鍛えるなら背中側です。
マッサージは効きますか
その場は楽になります。翌日に戻るなら、原因が環境側にあるという情報です。
まとめ
- 手首と肘は末端。本来は肩甲骨と背中が腕を支えている
- 肩が前に入ると、支える仕事が末端に降りてくる
- 環境要因は4つ。肘の位置・手首の角度・マウスの大きさ・机の高さ
- しびれを伴う場合は神経の問題。医療機関へ
- 優先順位は 環境 → 前腕を緩める → 肩甲骨を動かす
- 握力を鍛えるのは逆効果。鍛えるなら背中側
痛いのは手首でも、原因は手首にありません。
腕を支える仕事が、末端まで降りてきているだけです。